夏は、夜――。 |
そよとも渡らぬ風の向こう はかなく揺れるは
恋焦がれるは 涼やかな
躰の奥に積もりゆく熱に ただただ
想い伝ふるすべを知らばや
想い伝ふるすべを知らばや
ほのかに匂ふ
くろぐろと流れる
汚泥に染まぬ
嗚呼
どうか今いちど
夏は、寄る――。