夏は、夜――。
















水すい ミズヲ      コフ 恋れん














盛暑せいしょの闇に  炎は静かに篭もりゆく
そよとも渡らぬ風の向こう  はかなく揺れるは蜃気楼しんきろう 
迷夢めいむかあるいは現し世か   気狂いの心地の恐ろしく  
恋焦がれるは  涼やかな岩走いはばしり
躰の奥に積もりゆく熱に  ただただ眩暈めまいがする






想い伝ふるすべを知らばや
想い伝ふるすべを知らばや







ほのかに匂ふ  清廉せいれんのまなこ
生絹すずしより垣間見る  凛呼の肌
くろぐろと流れる  千茎ちぐきの垂れ髪
汚泥に染まぬ  蓮はちすの面影 







嗚呼  類たぐひなく  愛しき  ひとよ。
どうか今いちど 二世にせの契りを…。















玲瓏れいろうの水  睡蓮の華はな
夏は、寄る――。